コロナ禍の台湾生活必須【實聯制】って何？その方法と必要なアプリの使い方解説

コロナ禍の中、ワーキングホリデー・留学・仕事のために台湾へ渡航予定の方もいらっしゃると思います。
今の台湾ってどんな感じでしょうか。

• 實聯制についてわかる。
• 實聯制に必要となるアプリを準備できる。

※實聯制に関するサービス名はなるべく中文のままにしておきます。その方が実際にアプリを使用する/検索する時、視認しやすい/探しやすいからです。

實聯制について

冒頭でもお伝えしましたが、現在台湾では新型コロナウィルス対策の一環として、図書館や博物館のような公共施設のみならず、スーパーやコンビニに入店する時でさえ「實聯制」が導入され始めています。實聯制を知らないとコンビニにも行けない状態です。

というわけで、實聯制とは何なのかお伝えします。

實聯制って何？

實聯制導入の経緯

台湾政府は2020年5月28日、国内での新型コロナウィルス流行に先立ち、その対策として『COVID-19』因応指引：実聯制措置指引」（新型コロナウイルス対応ガイドライン：「実聯制」措置の手引き）を発表しました。「実聯制」はこのガイドラインが元になっています。

何度もお伝えしていますが、台湾は今年に入るまで新型コロナウィルス流行抑制に成功していました。なので、これまで「実聯制」を導入していませんでした。しかし、ここ最近の感染者増加に伴い、實聯制の本格的な導入が始まっています。

實聯制とは

實聯制(shíliánshì)は、感染に関する調査が必要になった際、感染者もしくは感染が疑われる人と同じ場所に出入りしていた人と連絡(聯繫)が取れるようにするための仕組みです。公共施設やお店のように人がたくさん集まる場所(感染リスクの高い場所)へ立ち入る時、入場記録として個人情報を残します。利用者ログを残すイメージです。

ログは場所に記録されるだけでなく、個々人の個人情報にも記録されます。なので、もし感染者が出たら、その感染者のログを辿って、その感染者が行った場所を特定する・その場所に居あわせた人を割り出す、などして感染が広がるのを防ぎます。

實聯制は、実名制とほとんど同じシステムなのですが、何か問題が起きた際に「連絡する」ことを強調するため、實聯制としています。

實聯制の方法

實聯制の方法は2通りあります。

1. 紙と鉛筆によってID・氏名・連絡先を直接用紙に記入する方法。
2. 予め携帯電話のアプリにID・氏名・連絡先を登録しておいて、入場の際、QRコードを表示してQRコードリーダーに読み取らせる方法。

この方法、市町村によっても、またお店や施設の大小によっても異なります。詳しい方法は次章から説明していきます。ここではざっとニュース映像を見てどんな感じなのか掴んでください。

個人情報の扱い方の違い

日本人にとっては「コンビニで個人情報書いちゃって大丈夫なのかな？」と思われるかもしれません。

じつは、台湾ではIDナンバー(マイナンバーみたいなもの)で国民の情報がガッチリ管理されていて、日本人的な「個人情報保護」の視点はありません。このガッチガチの管理は外国人でも同様なので、そういうものとして受け入れてください。私も初めて台湾へ語学留学した際にIDナンバーを作ったのですが、そのID申請時に語学学校からの証明書に加え、台湾での住居の賃貸契約書も添付するよう求められました。プライベート全開の賃貸契約書か、、、と思ったものです。

このIDナンバー、いろいろな場面で利用されています。例えば、新型コロナウィルスが急激に流行してマスクが不足していた時期、このIDでマスク購入可能日を厳しく管理していました(1週間ごとに3枚しか買えない規則でした)。政府の管理しているIDナンバー(個人情報)に紐付けされたマスク購入履歴に、マスクを販売する薬局がアクセスでき、マスクを購入するとログが残る仕組みでした。

台北市の實聯制の方法

前章でお伝えしたように、台北市政府はすでに實聯制の入場システムを公布していて、コロナウィルス流行に伴い、公共施設やお店へ入場する際行われるようになってきています。

採用している入場システムは、以下の3通りです。

台北市の入場システム

• 台北通アプリを利用[台北通アプリに登録必須。アプリ発行の個人QRCodeを使用して入場]
• 身分証の提示[携帯電話を持っていない人向け。身分証を持って入場]
• myCode+アプリを利用[このサービスはすでに台北通へ移行済み]

以下、それぞれの方法について説明していきます。

台北通(台北パス)アプリを利用する

台北通アプリは、台北の實聯制(実聯制)の入場システムです。携帯電話を持っていれば「台北通」アプリに登録できます。

台北通アプリの登録手順

1. 「台北通」アプリをダウンロードする(App Store、Google Play)。
2. アカウントを登録するため、アプリを開いて「註冊(登録)」タップする。
3. 「手機門號註冊(携帯電話番号登録)、身分證註冊(IDカード登録)、Alien Resident Certificate(外国人在留証明書)」と並んでいるので、「Alien Resident Certificate」をタップする。
4. 入力フォームに、身分證字號(身分証の番号)・姓名(氏名)・出生年月日(生年月日)・手機號碼(電話番号)を入力して、「下一步(次へ)」をタップする。
5. 登録が完了する。

注：登録時、もしも電話番号で登録する場合は、WiFiをオフにして接続できないようにするのを忘れないでください。また、登録時にアプリが少し不安定になり、エラーが表示される場合があります。その場合は、再度申請すれば、正常に登録できます。

「台北通」の實名制の使用方法

1. 台北通に登録した手機門號(電話番号)と密碼(パスワード)を入力して「登入(サインイン)」をタップする。
2. 卡證(カード)ページ画面の「QR身分碼(QR IDコード)」をタップする。
3. 携帯電話にQR IDコードが表示されるので、それをQRコードリーダーにスキャンさせます。スキャンは素早く完了して、すぐに入場できます。

台北通アプリの注意点

台北が提供している「台北通」アプリについて言えば、台北でしか使えません。しかし、台北市民の申請・登録に制限されるものではありません。なので、台北に行く予定のある方は、事前に申請・登録しておくことをお勧めします。登録しておくと、實聯制を実施している場所、台北へ行くのが便利になります。携帯電話を直接使用してQRコードを表示できるため、QRコードリーダーはすぐにスキャンして即時通過が可能になるからです。

また、「台北通」アプリは、一般会員とゴールド会員（本名認定会員）に分かれています。ゴールド会員の方がより充実したサービスを利用できるそうですが、一般会員で十分なのではないでしょうか。

身分証を提示する

携帯電話をお持ちでない場合やアプリのユーザー登録しない場合、従来の紙と鉛筆による記入(ID・氏名・連絡先の記入)と、身分の確認ができる健保卡(健康保険カード)または國民身分證登記(IDカード)、パスポート提示による入場が可能です。

myCode+ アプリを利用する

「myCode +」は元来フォームに記入してQRコードを申請できました。しかし、「台北通」アプリへ登録するよう完全に変更されました。これから使用する方は、「台北通」アプリの方を登録してください。

雲林県の實聯制の方法

雲林県もすでに實聯制の入場システムを公布していて、スーパーやコンビニへ入場する際に採用されています。

採用している入場システムは、以下の2通りです。

雲林県の入場システム

• 雲林Nubi扭一下-雲林數位縣民平台アプリを利用[雲林Nubi扭一下-雲林數位縣民平台アプリに登録必須。アプリ発行の個人QRCodeを使用して入場]
• 身分証の提示[携帯電話を持っていない人向け。身分証を持って入場]

以下、それぞれの方法について説明していきます。

雲林Nubi扭一下-雲林數位縣民平台(雲林Nubiツイスト-雲林數位県市民プラットフォーム)

雲林県は、雲林県民が申請・登録するのに便利な「雲林Nubi扭一下-雲林數位縣民平台」アプリを提供しています。これには、「數位縣民QR身份碼(數位県市民QR IDコード)」と、バーコードガンでスキャン可能な身分證條碼(IDカードバーコード)が含まれています。現行の實聯制の感染リスクを解決するために、非接触による實聯制を実現したこのシステムは、流行を効果的に防ぐことが可能です。

雲林Nubi扭一下アプリの登録手順

1. 「雲林Nubi扭一下」アプリをダウンロードする(App Store、Google Play)。
2. アプリを開いて、「註冊(登録)」をタップする。
3. 入力フォームに、姓名(氏名)・手機帳號(電話番号)・密碼(パスワード)・再次輸入密碼(再度同じパスワード入力)・推薦人代碼[選填](代理人コード[オプション])を入力して、「我已閱覽隱私條款並同意(私はすでにプライバシーポリシーを読みました。そして同意します)」をタップする。
4. SNS検証を受信するので対応。
5. 登録が完了する。

雲林Nubi扭一下アプリのQR IDコード表示手順

1. 登入(ログイン)画面で、帳號(アカウント)と密碼(パスワード)を入力して「登入(ログイン)」をクリック。
2. 左上角にある「三」マークをクリックする。
3. 「QR身分碼(QR IDコード)」を選んでクリックする。
4. 携帯電話にQR IDコードが表示されるので、それをQRコードリーダーにスキャンさせます。スキャンは素早く完了し、すぐに入場できます。

身分証を提示する

携帯電話をお持ちでない場合やアプリのユーザー登録しない場合、従来の紙と鉛筆による記入(ID・氏名・連絡先の記入)と、身分の確認ができる健保卡(健康保険カード)または國民身分證登記(IDカード)、パスポート提示による入場が可能です。

台中市の實聯制の方法

台中市は、台中市政府所属各機関のビルに市民が入る場合に限り、實聯制が導入されます。

採用している入場システムは、以下の1通りです。

台中市の入場システム

• 防疫追蹤溯源實名登記アプリ[防疫追蹤溯源實名登記アプリに登録必須。アプリ発行の個人QRCodeとIDを使用して入場]

防疫追蹤溯源實名登記(防疫-追跡・遡及のための実名登録)

台中市政府も、防疫を全面的に強化し、3月中旬から実名登録制度(實聯制)の導入を発表しました。台中市政府所属各機関のビルに市民が入る場合に限り、マスクを着用し、体温測定、手洗い消毒をする必要があります。同時に、「防疫追蹤溯源實名登記APP(防疫-追跡・遡及のための実名登録アプリ)」を利用します。アプリ登録は、まず携帯電話からインターネットで登録して専用のQRコードを取得します。また、自身のIDカードを持参するのも忘れないでください。市政府所属各機関の担当者は、取得したQRコードとID裏面のバーコードをスキャンします。そうすることで迅速に入場できます。

• 防疫追蹤溯源實名登記網頁：https://tccgov.tw

高雄市の實聯制の方法

現在、高雄市では實聯制アプリを利用できません。しかし、高雄市政府は現在、實聯制のQR Codeシステムを研究開発しているので、近いうちにアプリによる實聯制が導入されると思われます。

まとめ

台湾の新型コロナウィルス流行は最近始まったばかりなので、アプリ利用による實聯制はまだ大都市、特に台北市に限られています。

しかし、状況が悪化すれば、他の都市でもアプリ利用による實聯制が一般的になっていくと予想されるので、台湾での新型コロナウィルス流行状況と社会動向に目を向け続ける必要があるでしょう。