【華語文法】その他の表現

もくじ

その他の表現

所有表現

動詞「有yǒu」の主語に人称代詞か人を表す名詞を置いて「人(所有者) + “有“ + 物や人(被所有物)」の形にすると、「人(所有者)は物や人(被所有物)を持っている」という所有の意味を表す。また、否定形にする場合は必ず「沒méi」を用いて「沒有méiyǒu」とする。

存在表現と所在表現

存在表現

「存在」を表す。動詞「有yǒu」または「是shì」を用いる。

  • 有yǒu:⋯⋯がいる(ある)
    • 「[場所/時間] + “有“ + [存在する人や物]」で「[場所/時間]に[存在する人や物]がいる(ある)」を意味する。時間や場所が目的語を「所有している」ところから転じて、存在の意味になった。目的語には量詞などの修飾語がつく場合が多く、目的語は「不特定の、未知の」ものをいう。例:屋裡有人。(場所)/ 那天晚上有月亮,天不太黑。(時間)
    • 否定形は「沒」を「有」の直前に置く。「⋯⋯沒有」で「⋯⋯にはない」を意味する。また、否定形の場合は量詞などの修飾語はつかない。
      • O:屋裡沒有人。(正しい使用例)
      • X:*屋裡沒有一個人。(量詞は使えないので、間違った使用例)
    • 疑問形は「嗎」疑問文か、反復疑問文を用いる。例:屋裡有人嗎?/ 屋裡有沒有人?
  • 是shì:⋯⋯がいる(ある)
    • 「[場所] + “是“ + [存在する人や物]」の形で「[場所]に[存在する人や物]がいる(ある)」を意味する。例:屋子裡到處是灰。

所在表現

「所在」を表す。動詞の「在zài」を用い、「[存在する人や物] + ”在“ + [場所]」の形で「[存在する人や物]が[ある場所]にいる(ある)」を意味する。例:他在家。/ 圖書館在捷運站對面。

  • 行為や状態などを表す動詞(句)は「在」の後ろに置く。例:我在家裡睡覺。/ 他在圖書館寫功課。
  • 主語(存在する人や物)と「在」の間に動詞が挿入されて「[存在する人(物)] + [動詞] + 在 + [場所]」の形で表されることもある。例:我把手機放在哪裡了?/ 我聽說李先生現在住在台北。
  • 否定形は一般の動詞と同じく「不」または「沒」を「在」の直前に置く。「不在⋯⋯」の形で「⋯⋯にはない」を意味する。例:他不在家。/ 他沒在家。(過去の出来事)
  • 疑問形は「嗎」疑問文か、反復疑問文を用いる。例:他在家嗎?/ 他在不在家?

「有」と「在」の相違点

  • 「有」は場所に存在することだけでなく、時間に存在するとも表現できるが、「在」は場所に存在することしか表現できない。
  • 「有」と「在」が場所に存在することを表す時、「場所」と「存在する人や物」の位置が入れ替わった文構造になっている。
    • [場所] + ”有“ + [存在する人や物]
    • [存在する人や物] + ”在“ + [場所]
  • 一般的に「有」は「存在する人や物」が「不特定のもの、未知のもの」を指す。一方で、「在」は「特定のもの、既知のもの」を指す。
    • 背包裡有書。(リュックの中に、ある本がある)
    • 書在背包裡。(例の本がリュックの中にある)

完了表現

完了表現は以下の通りです。

  • アスペクト助詞「了le」を動詞の後ろに置いて「動詞 + ”了“」の形で完了を表す
  • 結果補語の「完wán、好hǎo」を動詞の後ろに置いて「動詞 + “完“」「動詞 + “好“」の形で完了を表す
  • 副詞「已經yǐjīng(すでに)、已yǐ(“已經“の書き言葉)、早就zǎojiù(とっくに)」などを動詞や形容詞の前に置いて完了を表す

可能表現

「會huì

技術習得の有無を表す

「能néng

主に身体的な能力の有無(ある動作行為が身体的に可能かどうか)を表す

「可以kěyǐ

許可に関連して「可能であること」を表す

程度表現

  • 「有/像⋯⋯這麼/那麼 + [形容詞/動詞]」で「こんなにも[形容詞/動詞]である」を意味する
  • 「怎麼/那麼 + [形容詞/動詞]」で「こんなにも[形容詞/動詞]」を意味する
  • 「這麼/那麼 + [形容詞/動詞](+的)+ [名詞]」で「こんなにも[形容詞/動詞]な[名詞]」を意味する
  • 程度補語を用いて「[動詞/形容詞] + 得 + [補語]」の形で「[補語]な[動詞/形容詞]」を意味する

禁止表現

  • 別bié:主語は必ず二人称で「(你)別 + [動詞句]」の形で「(あなたは)[動詞句]しないで」を意味する。また「別」を単独で使うと、「だめ」「やめろ」のような制止や拒絶などの意味を表す
  • 不要búyào:「[主語] + 不要 + [動詞句]」の形で「[主語]は[動詞句]してはいけない」を意味する
  • 不能bùnéng:「[主語] + 不能 + [動詞句]」の形で「[主語]は[動詞句]してはならない」を意味する
  • 不許bùxǔ:「[主語] + 不許 + [動詞句]」の形で「[主語]は[動詞句]することを許さない」を意味する
  • 不得bùdé:「[主語] + 不得 + [動詞句]」の形で「[主語]は[動詞句]することが許されない」を意味する。書き言葉で使用
  • 禁止jìnzhǐ:「禁止 + [動詞句]」の形で「[動詞句]することを禁止する」を意味する。書き言葉で使用
  • 請勿qǐngwù:「請勿 + [動詞句]」の形で「どうか[動詞句]しないでください」を意味する。丁寧な表現

命令表現

  • 主語は二人称で「(你) + 動詞!」の形で、命令を意味する
  • 「把bǎ」構文は、命令の意味でも使える

選択(二者択一)表現

「不是búshì⋯⋯,就是jiùshì~」の形で「⋯⋯か~かどちらかだ」という二者択一を表す。

重複表現

  • 動詞の重複表現:動詞を重複させて、動作行為が短時間で行われること、動作が軽微であることを表す。
  • 形容詞の重複表現:形容詞を重複させると、形容詞の意味が強調される。また、これは話し手の主観的な感覚を表す。