中国語の単語(音節)構造の大枠は理解したけど、それぞれの要素について知りたいなぁ
声調(Tones)について知りたいんだけど
声調(Tones)は単語(音節)構造の大事な要素だよね
難しいかなぁ?
そんなことないよ。基本的なルールを理解すれば習得できるよ
というわけで、今回は中国語・華語の声調(Tones)についてお伝えします
- 声調(Tones)がわかる
- 声調(Tones)の発音練習ができる
単語(音節)構造の基本が知りたい方へ
この記事は、単語(音節)構造の要素「声母(Initials)・韻母(Finals)・声調(Tones)」いずれかの各論です。単語(音節)構造自体の基本が知りたい方や曖昧な方は、先に下記の記事を参照してください。
用語には英語を併記
私は台湾の語学センターで中国語学習を開始しました。初学のうちは英語で授業を受けたので、発音の用語も英語で覚えました。帰国後、覚えた用語の日本語での用語名を調べましたが、英語の方が直感的で理解しやすいと感じています。そのため、理解のしやすさを考慮して、用語には英語も併記しています。例えば「声母(Initals)」の場合、「声母」が日本語の用語名、「Initials」が英語名です。
声調(Tones)
それでは声調(Tones)についてお伝えしていきます。
声調(Tones)って何?
声調(Tones)は日本語にはありません。日本人が一番勉強する外国語の英語にもないものなので、初学者にとっては本当に馴染みがないものですよね。ですから、最初にどのようなものか軽くお伝えしてから、詳しい説明をしていこうと思います。
声調(Tones)は歌みたいなもの
中国語を聞いたことのある方はわかると思うのですが、中国語って「歌」みたいに音階を付けて発音してませんか?その発音時の音の高低がまさに声調(Tones)です。私は中国語学習を始める前「中国語を話している人たちは歌っているみたいだ」と感じていました。それぐらい、音階の起伏を伴って発音する言語が中国語です。
声調(Tones)は中国語にとって重要なもの
日本語にない声調(Tones)ですが、中国語にとってはとても重要なものです。声調(Tones)が正確でないと、たとえ音が合っていても別の単語を発音していることになってしまい、会話が通じません。声調(Tones)は音の正確さと並ぶ発音上の要素なのです。
では、声調(Tones)について詳しくお伝えしていきます。
声調(Tones)とは
声調(Tones)は、言語において意味の区別に用いる発音の高低のことです。発音する時に重要となる要素の1つです。
声調(Tones)とは
発音時の音の高低
声調(Tones)の種類
中国語には4種類の声調(Tones)があります。
声調(Tones)の種類
- 第一声(First tone):高音のままキープする
- 第二声(Second tone):中音から高音へ上げる
- 第三声(Third tone):半低音から低音へ下げる(1文字か文末の時は、半低音から低音へ下げ最後に半高音まで上げる)
- 第四声(Fourth tone):高音から低音へ下げる
声調(Tones)を図示したものが下記です。
第一声(First tone)
第一声(First tone)は、高音のままキープします。声調(tones, トーン)の中では途中変化がないので一番簡単かもしれません。
第二声(Second tone)
第二声(Second tone)は、中音から高音へ上げます。さざえさんのマスオさんの返事に近いです。
第三声(Third tone)
第三声(Third tone)は、半低音から低音へ下げます。また、1文字or文末の時は半低音から低音へ下げ最後に半高音まで上げます。
第四声(Fourth tone)
第四声(Fourth tone)は、高音から低音へ下げます。日本語の「はい!」に近いです。
軽声(Neutral tone)
上記の4種類の声調(Tones)にプラスして、音の長さがない「軽声(Neutral tone)」があります。
声調符号(Tone marks)
発音記号(拼音など)を書く時は、発音時の音の高低である声調(Tones)についても一緒に書く必要があり、声調(Tones)を表記するために用いる記号が声調記号(Tone marks)です。中国語では声調(Tones)は4種類なので、声調記号(トーンマーク)もそれぞれに対応して「ー, 丿, V, 丶」の4種類あります。
声調記号(Tone marks)
4種類ある声調(Tones)をそれぞれ記号「ー, 丿, V, 丶」で表したもの
声調符号(Tone marks)の表記方法
声調符号(Tone marks)を発音記号(拼音など)と一緒に書く時は、韻母(Finals)の主母音の上に書きます。この「韻母(Finals)の主母音の上」というのが少し厄介で、主母音候補が複数ある場合は、表記方法のルールに従って位置が決定されます。つまり、声調符号(Tone marks)を表記する場所は、一番前の母音とか一番後ろの母音というように定位置が決まっているわけではないのです。声調符号(Tone marks)を表記する場所は、原則としてその音節の中で最も口を大きく開く(語尾の)主母音の上に表記します。「韻母(Finals)の種類」でまとめた図表には単母音を「口の開き具合」の順番で並べていましたよね。声調符号(Tone marks)をつける優先順位はこの口の開き具合に依存していて、「優先度:高(開)← a, o, e, i, u, ü →(閉)低」の順番になります。
その他にも声調符号(Tone marks)の表記方法には決まりがあるので、表記方法のルールを覚えましょう。
声調符号(Tone marks)の表記方法のルールは以下の通りです。
声調符号(Tone marks)の表記方法のルール
- 声調符号(Tone marks)を発音記号と一緒に書く時は、韻母(Finals)の主母音の上に書く
- 声調符号(Tone marks)を表記する優先順位は「優先度:高(開)← a, o, e, i, u, ü →(閉)低」の順番
- 韻母(Finals)の主母音が1つだったら、その母音に書く
例:mā、qù - 韻母(Finals)の主母音が2つ以上あったら、以下の順番で書く
- 「a」があれば必ずその上に書く
例:jiā、zhǎo - 「a」がなければ「o」か「e」の上に書く
例:dōu、shuō、jiě、xué
※「o」と「e」が一緒に出てくる音節は無い - 「i」と「u」が並んだら後ろ側の上に書く(「iu」なら「u」、「ui」なら「i」)
例:jiǔ、qiú、suì、zuì
- 「a」があれば必ずその上に書く
- 「i」に声調符号(Tone marks)を書く時は「i」の点(・)を取って書く
例:nǐ、jī
声調符号(Tone marks)の書き方のルールの中で、一番ややこしいのは(4)の「韻母(Finals)の主母音が2つ以上ある」時です。この時はさらに条件が分かれているため、どの母音の上に声調符号(Tone marks)を書いたらいいのか慣れないうちは迷ってしまいますよね。ですから、少し練習してみましょう。
例えば「先」に声調符号(Tone marks)を書く場合です。“先“の発音記号(拼音)は「xian」で、声調(Tones)は第一声(1st tone)、声調符号(Tone marks)は「ー」です。韻母(Finals)の主母音は「ia」ですが、優先度最上位の「a」があるので「a」の上に第一声(1st tone)の記号「ー」を書きます。ですから、「先」は「xiān」と書きます。
さらに、もう1つ練習してしましょう。例えば「月」に声調符号(Tone marks)を書く場合です。「月」の発音記号(拼音)は「yue」で、声調(Tones)は第四声(4th tone)、声調符号(Tone marks)は「丶」です。韻母(Finals)の主母音は「ue」ですが、uとeでは「e」の方が優先度上位です。なので、「e」の上に第四声(4th tone)の記号「丶」を書きます。ですから、「月」は「yuè」と書きます。
声調(Tones)を用いる言語を声調言語(Tone language)と言います。日本語はアクセントの強弱で発音する言語で、トーンはありません。ですから、中国語の初学者はとにかく練習して慣れていきましょう。
ちなみに、中国語にはトーンが4つ、ベトナム語に至ってはトーンが6つあります。
中国語の単語(音節)構造やその構成要素の基本を学びたい方へ
ピンインや発音の基礎知識、中国語の単語(音節)構造の基本やその構成要素について解説している記事を紹介します。
中国語・華語の単語(音節)構造は「声母(Initials)+韻母(Finals)」で出来ていて、発音する時に声調(Tones)が加わります。この基本構造を正しく理解できるとピンインや声調記号(Tone marks)も自分で書けるようになります。以下の4つの記事を最初に読んで頂くと、中国語の単語(音節)構造が理解できるようになると思いますので、ぜひ目を通してみてください。
1.中国語・華語の単語(音節)構造の基本について
中国語の単語(音節)構造の基本を説明している記事です。単語(音節)構造の基本を理解したい方は、この記事をまず最初に読んでください。
2.声母(Initials)について
中国語の単語(音節)構造の各論「声母(Initials)」についての記事です。
「声母(Initials)」は全部で21個あり、それら全ての発音の基本・方法・コツをまとめた記事です。
3.韻母(Finals)について
中国語の単語(音節)構造の各論「韻母(Finals)」についての記事です。
「韻母(Finals)」は全部で36個あり、それら全ての発音の基本・方法・コツをまとめた記事です。
4.声調(Tones)について
中国語の単語(音節)構造の各論「声調(Tones)」についての記事です。
まとめ
もう一度、声調(Tones)と声調記号(Tone marks)についてシンプルにまとめておきます。
声調(Tones)と声調記号(Tone marks)
- 声調(Tones):第一声(1st tone)、第二声(2nd tone)、第三声(3rd tone)、第四声(4th tone)の4種類
- 声調記号(Tone marks):4種類ある声調(Tones)をそれぞれ記号「ー, 丿, V, 丶」で表したもの
「声調(Tones)って何?」の項目でもお伝えしましたが、声調(Tones)は日本語にないものなので、最初は取っ付きにくいかもしれません。私も学習を始めた頃はとても苦労しましたし、語学センターの日本人の同級生たちも苦労してました。しかし、練習を重ねることで必ず正しい声調(Tones)を身につけて発音できるようになりますので、安心してください。