

中国語の単語構造の大枠は理解したけど、それぞれの要素について知りたいなぁ
語尾(finals, 韻母)について知りたいんだけど

今回は語尾(finals, 韻母)についてお伝えします
- 語尾(finals, 韻母)がわかる
- 語尾(finals, 韻母)の発音練習ができる
単語構造の基本が知りたい方へ
この記事は、単語構造の各要素「頭文字(声母)・語尾(韻母)・トーン(声調)」の説明です。単語構造そのものが知りたい方や曖昧な方は、先に下記の記事を見てみてください。
説明は理解のしやすさ優先
私は台湾の語学センターで中国語学習を開始しました。最初のうちは英語で授業を受けたので、発音の専門用語も英語で覚えました。帰国後、それら専門用語の日本語訳を調べましたが、正直、英語の方が直感的で理解しやすいです。なので、理解のしやすさを優先し、専門用語は英語を直訳した日本語でお伝えしていきます。同時に、これから教科書等を見る時に困らないよう、日本で共通に使われている用語も添えておきますので、心配しないでくださいね。
語尾(finals, 韻母)とは
それでは、語尾(finals, 韻母)についてお伝えしていきます。
語尾(finals, 韻母)の基本
まずは単語構造上の語尾(finals, 韻母)とは何だったのか、軽くおさらいします。
語尾(finals, 韻母)とは
中国語の音韻学で、先頭の音(頭子音)以外の部分のこと。主母音前にくる半母音・中間母音(介音)、主母音、最終母音or子音(尾音)の組み合わせ。
もっと簡単に言うと、単語の頭文字(声母)を除いた残りの部分のことです。
語尾(finals, 韻母)の種類
語尾(finals, 韻母)の種類について説明していきます。
まずは語尾(韻母)の簡単なまとめをお伝えし、その後で細かい説明をしていきます。
語尾(finals, 韻母)の種類のまとめ
- 語尾(finals, 韻母)の基本は「a, o, e, i, u, ü」の6つ
- 「半母音・中間母音(介音) + 主母音 + 最終母音or子音(尾音)」の組み合わせによって、多種の語尾(韻母)が存在
基本的な語尾(finals, 韻母)は「a, o, e, i, u, ü」の6つです。さらに、半母音・中間母音(介音)、主母音、最終母音or子音(尾音)の組み合わせによって、たくさんの語尾(finals, 韻母)があります。
介音は「 i, u, ü」を発音する時にそれぞれの前に弱く発音される「y(i), w(u), y(ü)」のことです。
下記は語尾(韻母)をまとめた図表です。
語尾(finals, 韻母)図表

表の見方は以下の通りです。
- 横列:語尾(finals, 韻母)発音時の開口具合
- 縦列:同じ母音を最初に発音する仲間
- 複母音:母音を複数重ねた音
- 鼻音:鼻から空気を逃しながら発音する音
単母音発音時の開口具合とトーン符号(声調記号)の関係
語尾(finals, 韻母)図表の一番上に、単母音発音時の「口の形・口の大きさ」を描いたのには理由があります。トーン符号(声調記号)を表記する時、「単母音発音時の開口具合」が重要になってくるからです。ですから、必ず覚えてください。
単母音発音時の開口具合
開← a, o, e, i, u, ü →閉
「a」は一番口を開いて発音する音です。日本語の「あ」よりも口を開いて発音するイメージです。
「e」を発音する時の口の開き具合が「自然な状態」とされています。いわゆるニュートラルな状態です。口にチカラを入れずそのまま発音します。日本語の「あ」と「え」の中間みたいな音です。
「e」それとは対照的に「ü」は唇をやや閉じ、さらに唇にチカラを入れて発音します。コツとしては「下唇と顎に力を入れる」感じです。
日本人にとって発音が難しい音は「e, ü」です。なぜならば、日本語にはない音だからです。
「u, o」も日本人が発音を注意しなければならない音です。日本語の「う、お」とは違うのですが、日本人は「う、お」で発音してしまいがちです。
ここまでで、語尾(finals, 韻母)について基本的なことは全てお伝えしました。
次の章では、さらに母音図表を利用して語尾(韻母)の発音を詳細に説明します。専門的な内容になるので、気になる方だけ見てみてください。
母音図表から見る語尾(韻母)の発音方法
母音図表の利用
言語学者は、それぞれの言語についての発音方法を図表で説明してきました。中国語も同様で、中国語の語尾(finals, 韻母)の発音方法を説明した図表が存在しています。
ここからは、その中国語の母音図表を見ながら、語尾(韻母)発音について細かく見ていきましょう。
中国語の母音図表について
中国語の母音図または中国語の母音図表は、中国語母音の略図であり、通常は標準中国語を指します。最も古い中国語の母音図は、1920年に中国人の言語学者、易作霖(Yì Zuòlín)によって公開されました。三年後、ダニエル・ジョーンズ(Daniel Jones)が1917年に有名な「基本母音図(cardinal vowel diagram)」を出版しました。易作霖はこれらの図を「單(単)韻/複韻構成図表」と呼んでいます。中国の単母音と二母音を示す図です。
台形の英語の母音図とは異なり、中国語の母音図は三角形です。
単母音の図表

この図で使われている発音記号は「注音記号」、「注音符號」または単に 「Bopomofo」として知られています。
この図には、6つの母音または単韻が描かれています。それらは以下です。
- ㄧ (IPA [i]), as in ㄧˋ (易yì)
- ㄨ (IPA [u]), as in ㄨˋ (霧wù)
- ㄦ (IPA [ɚ]), as in ㄦˋ (二èr)
- ㄛ (IPA [o]), as in ㄆㄛˋ (破pò, 破れる)
- ㄜ (IPA [ɤ]), as in ㄜˋ (餓è, お腹が空いている)
- ㄚ (IPA [a]), as in ㄆㄚˋ (怕pà, 恐ろしい)
この図では、母音の高さ(閉、半閉、半開、開)の4段階、母音の背面(前面、中央、方面)の3段階、母音の丸み(広がり、自然、丸)の3段階、を利用していることに注意してください。 ㄦ(er)の配置には疑問があるかもしれませんが、他のすべての母音は、あるべき位置にあると一般的に言われています。
複母音の図表
ここからは複母音について説明してきます。
(※注)図の見方:単母音と同じ三角形の母音図表が二重母音(複合韻または複韻)を表すためにも使用され、各二重母音の開始位置と終了位置を示す矢印が付いています。
下降二重母音の図表

下降二重母音は、より目立つ (より高いピッチまたは音量) 母音の質で始まり、より目立たない半母音で終わります。
この図には、6つの下降二重母音が示されています。それらは以下です。
- ㄩ (IPA [y]), as in ㄩˋ (玉yù)
- ㄝ (IPA [e̞]), as in ㄧㄝˋ (夜yè)
- ㄟ (IPA [ei̯]), as in ㄌㄟˋ (累lèi, 疲れている)
- ㄡ (IPA [oʊ̯]), as in ㄉㄡˋ (豆dòu)
- ㄞ (IPA [ai̯]), as in ㄉㄞˋ (帶dài)
- ㄠ (IPA [ɑʊ̯]), as in ㄉㄠˋ (道dào)
この図表に明らかな単母音の“ㄩ(y)“と“ㄝ(e̞)”が含まれている理由は、純粋に音韻論的かつ歴史的である。たとえそうであっても、それらの母音は、次の図にあるものと同等の「上昇二重母音」と見なされるべきです。
上昇二重母音の図表

上昇二重母音は、あまり目立たない半母音で始まり、より目立つ全母音で終わります。
この図は、4つの上昇二重母音を示しています。以下の通りです。
- ㄧㄛ (IPA [i̯o]), as in ㄧㄛˋ (唷yō, 間投詞「よ〜」)
- ㄨㄛ (IPA [u̯o]), as in ㄨㄛˋ (臥wò, 嘘をつく)
- ㄧㄚ (IPA [i̯a]), as in ㄧㄚˋ (亞yà)
- ㄨㄚ (IPA [u̯a]), as in ㄨㄚˋ (襪wà, 靴下)
標準中国語の母音記号の変遷
北京語の母音の正確な数は、音韻論や方法論によって異なる場合があります。北京語(普通話)の文字変換の主なシステムは次のとおりです。
Year | System | [ ͡ɨ] | [ ͡ɯ] | [a] | [o] | [ɤ] | [ɛ] | [i] | [u] | [y] | [ɚ] | Count |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1888 | Palladius system | и | ы | а | о | э | е | и | у | юй | эр | 10 |
1892 | Wade–Giles | ih | û | a | o | ê | e | i | u | ü | êrh | 10 |
1918 | Zhuyin fuhao | ㄭ | ㄭ | ㄚ | ㄛ | ㄜ | ㄝ | ㄧ | ㄨ | ㄩ | ㄦ | 9 |
1928 | Gwoyeu Romatzyh | y | y | a | o | e | è | i | u | iu | el | 9 |
1958 | Hanyu Pinyin | -i | -i | a | o | e | ê | i | u | ü | er | 9 |
舌尖・舌歯・そり舌の摩擦音/破擦音の後に表示される「尖端母音」は、多くの場合、中国学者によって [ɿ] と [ʅ] として表されます。これらの 2 つの IPA 記号は、現在、国際音声アルファベットでは廃止され、非標準記号と見なされています。
まとめ
語尾(finals, 韻母)の種類が理解できたら、後はとにかく発音練習あるのみです。練習を重ねれば発音は必ずできるようになりますので、諦めずに頑張ってくださいね。