【中国語文法】「再說」と「再加上」の違い

まさ先生
まさ先生

さて、私が在籍した師範大学語学センターは、独自に作成・出版した「當代中文課程(現代中国語コース)」を使用しています。

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今回は、テキスト當代中文課本の「コース3(課程3) レッスン2のダイアログ(第二課對話)とレッスン6のダイアログ(第六課對話)」に使用されている文法「再說」と「再加上」を扱います。テキスト上では“再說“は「besides, moreover」、“再加上“は「furthermore」と説明されていて、どちらの日本語訳も「さらに」です。似たような意味の語ですが、どのような違いがあるのかもう少し調べてみました。

もくじ

英語で用法を調べてみる

まずは“再說“の英語訳である“besides, moreover“と、“再加上“の英語訳である“furthermore“のそれぞれの違いを調べてみました。

“besides, moreover, furthermore“の違い

”furthermore“は、前述の理由にもう1つ理由を追加するだけの時に使用される。 その意図は増やすことであり、それは数とは関係がありません。

”moreover“は、以前とは異なる種類の理由を追加する時に使用される。 その主たる任務は、特定の論点に関して多様性を追加することです。

”besides“は、それら自身で十分である説得力を新しい理由によって強化する時に使用される。 その主たる任務は、多量に強化することです。

THE DIFFERENCE BETWEEN WORDS, Esteemed SYNONYMOUS, IN THE ENGLISH LANGUAGE p72

使用された例文

ではこれらの単語が使用された例文を見てみましょう。

For a state to support itself, those who govern should be moderate; those who ought to obey, governable; furthermore, the laws should be judicious. There will always be war among men, because they are naturally ambitious and are governed by interest; moreover, zeal for religion makes them rigid. Holy Scripture teaches us the unity of the Godhead and reason points it out to us: besides, all nature makes us perceive it.
(日本語訳:国家が自らを支えるために、人々は穏健であるべきであるー従うべき人々、統治可能な人々ーさらに、法律は賢明であるべきである。 人々の間にはいつも戦争があるだろう、なぜなら人々は自然に野心的であり、そして興味によって支配されているからー さらに、宗教への熱意によって彼らは頑固(厳格?)になる。 聖書は私たちに神の思考下での統一を教える、そして、道理・理性は私たちにそれ(神の思考下での統一)を指摘するーさらに、全ての自然によって私たちはそれを認識する。)

THE DIFFERENCE BETWEEN WORDS, Esteemed SYNONYMOUS, IN THE ENGLISH LANGUAGE p72

最初の「さらに」は、国家が自立するための理由として、人々が穏健であるべきことと法律が賢明であるべきことを並列しているので「furthermore」を使用している。

二番目の「さらに」は、人々の間に戦争が存在する理由として、人々が野心的であることと、それとは別の視点として宗教に厳格であることを述べているので「moreover」を使用している。

最後の「さらに」は、聖書の重要性をすでに述べ尽くしているが、その重要性を強調するための説明として、自然によっても聖書の重要性を認識できると述べているので「besides」を使用している。

小まとめ

  • furthermore —> 前述の理由にもう1つ理由を追加する。根拠の道筋は同じ
  • moreover —> 先にあげたものとは異なる種類の理由を追加する。根拠に異なる道筋を追加
  • besidesは —> 先にあげた理由はすでに十分な説得力を持っているが、さらに新しい理由を提示して根拠を強化

台湾人の先生に聞いてみた

“再說“と“再加上“の違いや注意点について、師大の中国語の先生に聞いてみました。

“再說“は?

”再說“の文法構造は以下である。

[⋯⋯理由その1⋯⋯], 再說[⋯⋯理由その2⋯⋯], (所以)[⋯⋯結果・結論⋯⋯]

  • 理由と結果・結論を述べる時に使用する。
  • “再說“の前の[理由その1]の方が重要度が高い。

“再加上“は?

”再加上“の文法構造は以下である。

[⋯⋯理由その1⋯⋯], 再加上[⋯⋯理由その2⋯⋯], (所以)[⋯⋯結果・結論⋯⋯]

  • 理由と結果・結論を述べる時に使用する。
  • ”再加上“の後ろの[理由その2]の方が重要度が高い。

小まとめ

”再說“も“再加上“も理由と結果・結論を述べる時に使用する。

”再說“も“再加上“も文法構造は同じである。
[⋯⋯理由その1⋯⋯], 再說[⋯⋯理由その2⋯⋯], (所以)[⋯⋯結果・結論⋯⋯]
[⋯⋯理由その1⋯⋯], 再加上[⋯⋯理由その2⋯⋯], (所以)[⋯⋯結果・結論⋯⋯]

  • 再說 —> 再說の前の[理由その1]の方が重要度が高い
  • 再加上 —> 再加上の後ろの[理由その2]の方が重要度が高い

師大のテキストに戻ってみよう

では、師大の語学センターで使用しているテキスト當代中文課程3課本に戻って例文を見てみましょう。

”再說“の例文は

まずは“再說“の例文から見てみましょう。“再說“はレッスン2のダイアログ(第二課對話)にあります。

⋯⋯⋯⋯
店員:請問妳帶發票來了嗎?
(日本語訳:すみませんが、あなたはレシートを持参しましたか?)
羅珊蒂:我弄丟了,找不到。
(日本語訳:私は(レシートを)捨てたので、見つかりません。)
店員:那不好意思。按照我們公司的規定,沒有發票不能退換。
(日本語訳:それならすみません。私たちの会社の規定に照らし合わせると、レシートがないと返品・交換できません。)
羅珊蒂:我昨天是刷卡買的,你們應該查得到資料。再說,衣服有問題也不是我的錯。
(日本語訳:私は昨日クレジットカードで買ったので、あなた達はおそらく調べると(購入履歴の)資料にたどり着くはずである。さらに、衣服に問題があることも私のミスではありません。)
⋯⋯⋯⋯

當代中文課程3課本第二課對話

この例文の場合、
店員はレシートを持参しないと服の返品・交換ができないと羅珊蒂に伝えました。それに対して羅珊蒂は、自分がクレジットカードで購入したので店側に購入履歴の資料が残っているはずだという重要な理由をまず伝え、さらに、そもそも服に問題があったことは自分のミスではない(→店が悪い)という別の視点も伝えました。「さらに」の前が重要な内容で、後ろに別の視点を追加したので”再說“を使用しています。

“再加上“の例文は

次に”再加上“の例文を見てみましょう。“再加上“はレッスン6のダイアログ(第六課對話)にあります。

⋯⋯⋯⋯
(到了屋外)
安德思:這些番茄真漂亮!
(日本語訳:これらのトマトはとても綺麗!)
表哥:這不是基因改造的,是新品種。今年氣候特別好,再加上沒有颱風,所以青菜水果都長得很好。
(日本語訳:これは遺伝子組み替えではありません、これは新しい品種です。今年の気候は特別に良く、さらに、台風もありません。なので、野菜と果実はどちらも良く育っています。)
⋯⋯⋯⋯

當代中文課程3課本第六課對話

この例文の場合、
表哥はトマトが綺麗に育っている理由として、気候が良いことと台風が来ていないことを挙げています。気候も台風も根拠の道筋は同じ(気象について)であり、且つ「さらに」の後ろが少し具体的な理由(重要な理由)なので”再加上“を使用しています。

小まとめ

  • 再說 —> 別の視点を追加・根拠に異なる道筋(moreover)。または根拠を強化(besides)。
  • 再加上 —>理由を並列。根拠の道筋は同じ(furthermore)。

まとめ

<使用状況>

”再說“も“再加上“も理由と結果・結論を述べる時に使用する

<文法構造>

“再說“も“再加上“も形式は同じである。

  • [⋯⋯理由その1⋯⋯], 再說[⋯⋯理由その2⋯⋯], (所以)[⋯⋯結果・結論⋯⋯]
  • [⋯⋯理由その1⋯⋯], 再加上[⋯⋯理由その2⋯⋯], (所以)[⋯⋯結果・結論⋯⋯]

<理由の重要度の違い>

  • 再說 —> 再說の前の[理由その1]の方が重要度が高い
  • 再加上 —> 再加上の後ろの[理由その2]の方が重要度が高い

<補足>

”再說・再加上“の前に述べた内容と、“再說・再加上“の後ろに述べる内容の道筋が同じかどうか、強調するのか単純に並列するだけなのかで、どちらの単語を使用するのかが決まる。

  • 再說 —> 別の視点を追加・根拠に異なる道筋(moreover)。または根拠を強化(besides)。
  • 再加上 —>理由を並列。根拠の道筋は同じ(furthermore)。

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