さて、私が在籍した師範大学語学センターは、独自に作成・出版した「當代中文課程(現代中国語コース)」を使用しています。
このテキスト、他のたくさんの語学センターでも使われるほど良くできていてオススメ!詳しい内容は下記URLから。
今回は、テキスト當代中文課本の「コース2 レッスン4のリーディング(課程2 第四課短文)」に記載されている単語「答應」とコース3 レッスン7のリーディング(課程2 第七課短文)」に記載されている単語「接受」を扱います。テキスト上では“答應“も“接受“も「to accept」と説明されていたので、しばらくの間、同じ意味の単語だと思っていたのですが、後々中国語の国語辞典で調べたり台湾人の先生にお聞きしたらそれぞれ違う意味の単語だったので、健忘録として書いておきます。
”答應“を中国語辞典で調べてみる
まずは”答應“について中国語の国語辞典を引いてみました。
中国語の国語辞典に書かれている意味は?
中国語の国語辞典を引いたら以下のように書かれていました。
答應(dā yìng)
(1)解釋:應聲回答。
例:剛才那麼大聲叫你,為什麼不答應?。
(日本語訳:たった今こんな大きな声であなたを読んだのに、どうして応答しないの?)(2)解釋:允許、承諾。
例:既然答應了,就要盡心去做。
(日本語訳:承諾したので、心を込めてしなければならない)<参考:説明文上の単語>
剛才(gāng cái):たった今、ついさっき
教育部線上國語辭典
允許(yǔn xǔ):許可する
盡心(jìn xīn):心を込めて⋯⋯する
”答應“は応答する・承諾することを意味する言葉だとわかりました。
“接受”を中国語辞典で調べてみる
次に、“接受”について中国語の国語辞典を引いてみました。
中国語の国語辞典に書かれている意味は?
中国語の国語辞典を引いたら以下のように書かれていました。
接受(jiē shòu)
解釋:收受、接納。
例:他接受記者採訪,說明事件的始末。
(日本語訳:彼は記者の取材を受け入れて、事件の始末を説明する。)<参考:説明文上の単語>
教育部線上國語辭典
收受、接納:接受と同じ意味の単語
採訪(cǎi fǎng):インタビュー、取材
某種(mǒuzhǒng):いくつかの種類の
“接受“は受け入れることを意味する言葉だとわかりました。
台湾人の先生に聞いてみた
イマイチ理解しきれず腑に落ちないので、師大の中国語の先生に聞いてみました。
「受け入れる」のは同じ
“答應”も“接受”も「受け入れる」という態度は同じそうです。ただし、受け入れの意味合いが違います。
”答應“は?
“答應”は、ある質問に対する回答としての態度(受け入れ)を意味します。まず質問(できるorできない?、するorしない?、同意するor 同意しない?、Yes or not?など)があり、それに対する回答(できる/できない、する/しない、同意する/同意しない、Yes/No)として「答應(受け入れる)」という態度を現します。
“答應“はある質問に対する回答としての「受け入れる」という態度を意味する。
”接受“は?
”接受“は、ある条件に対する判断結果としての態度(受け入れ)を意味します。まずある条件提示があり、その条件を受けて「ではどうするか」の判断があり、その判断結果として「接受(受け入れる)」という態度を現します。
例えば、飲食店の入口で店員さんに「あと1時間ぐらい待たないと席が開かないのですが?」と条件を提示された際、ではどうするのか判断し、その判断の結果として「受け入れる(同意の意思)」という態度をとります。接受は条件に対する判断なので、必ずしも「できるorできない?(質問)」に回答するものではありません。よく使うのは下記の例の場合である。
- 例:接受別人的幫忙。(他者の手助けの受け入れ)
- 例:接受挑戰。(挑戦の受け入れ)
<参考:説明文上の単語>
挑戰(tiǎo zhàn):挑戦する
“接受“はある条件に対する判断結果としての「受け入れる」という態度を意味する。
小まとめ
- 答應 —> ある質問に対する回答としての「受け入れる」という態度
- 接受 —> ある条件に対する判断結果としての「受け入れる」という態度
師大のテキストに戻ってみよう
では、師大の語学センターで使用しているテキスト當代中文課程3課本に戻って例文を見てみましょう。“答應“も“接受“もレッスン7のリーディング(課程2 第七課短文)」にあります。
”答應“の例文は
… 家華,也不願意結婚。…。雖然女朋友跟他說過幾次,年紀不小,應該結婚了,他還是沒答應。
當代中文課程3課本 第七課 短文
(日本語訳:… 家華も結婚したいとは思いません。…彼女は家華(他)に過去何度も話した、年齢は若くない、結婚するべきだろと、しかし彼はまだ受け入れない方がいいと考えている。)
この例文の場合、
家華が彼女の「結婚するべき」という意見の回答として「受け入れない」という態度を示した
という内容だったので“答應“が使われました。
”接受“の例文は
現在社會慢慢地接受了各種家庭的組成方式。…
當代中文課程3課本 第七課 短文
(日本語訳:現在社会はゆっくりとさまざまな種類の家庭の形成方式を受け入れている。…)
この例文の場合、ある条件に対する判断結果としての態度(受け入れ)を意味します
現在社会が考え方の変化(言及されていませんが文脈上)によっていろいろな家族形式を「受け入れる」という態度を示した
という内容だったので”接受“が使われました。
まとめ
”答應“も”接受“も「受け入れる」という態度は同じでしたが、受け入れの意味合いが違いました。
- 答應 —> ある質問に対する回答としての「受け入れる」という態度
- 接受 —> ある条件に対する判断結果としての「受け入れる」という態度
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